ご 挨 拶
公益財団法人重複障害教育研究所
理事長 中島知子
初代理事長中島昭美は、祖父中島鋭治(日本の上下水道に貢献)の50回忌の記念事業として自宅を取り壊し、敷地220坪の土地に鉄筋コンクリート造り陸屋根2階建1棟(486.02u)を建て、受け継いだ祖父の遺産を活用し、公益に寄与することを目的として昭和50年5月、東京都教育委員会の許可を受けて、財団法人重複障害教育研究所を設立いたしました。以来、盲聾二重障害児、盲乳幼児、盲重複障害児、知的障害児、自閉症児、寝たきりの重度・重複障害児等、あらゆる障害児・者に対する事例研究を基に、特に人間の初期行動について探究し、人間とは何か、人間がなぜ立って歩くのか、なぜ言葉を持つようになるのかについて、障害の重い子供たちを最高の師として、人間行動の土台となっている触覚の重要性、姿勢の変化、感覚と運動、体の部分の役割、バランス、三次元空間の形成、重力等に至るまで、ひたすら学び続けた生涯でした。決してハウツーではない中島の根本的本質的な考え方は、学者、教師、施設職員、保護者等に大きな示唆と指針を示し、重複障害教育研究所のバックボーンとなっております。中島昭美没後、共に財団の事業に専心しておりました中島知子が理事長となり、学者、教師、保護者等一丸となって、本研究所の事業を進めてまいりました。
このたび、電子申請により、平成23年3月25日に内閣府より公益財団法人の移行認定を受け、4月1日より公益財団法人重複障害教育研究所として新たな出発をいたしました。
重度・重複障害児・者に対して教育実践を行い、人間行動の成り立ちの根本と人間存在への洞察を深め、この教育を核とした教育の真のあり方を示すと同時に、広く人間行動の基礎科学に関する学術研究の振興・発展に貢献することを事業の目的としております。
これまでの長期にわたる実績を踏まえて、ともすれば受け身にされがちな医療、福祉の現場においても、自発的な精神の輝く教育的なかかわり合いが重要な柱として位置づけられるように、重度・重複障害児・者の感じ方、考え方に深く学びながら実践をさらに深めていく所存でございます。どうぞ今後とも本研究所を温かくお見守り下さいますよう宜しくお願い申し上げます。