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      内容目次

1. 教育の新しい立場
 1.1 子供達との出会い
 1.2 「くふうする教育」「考える教育」
 1.3 より基礎的、より本質的に
2. ヒトの初期学習
 2.1 感覚の障害
 2.2 初期の感覚と運動 
 2.3 感覚の芽生えと運動の自発
 2.4 目の使い方と手の動かし方
 2.5 行動の原動力
3. 概念行動の基礎学習
 3.1 探索と定位
 3.2 方向づけ、位置づけ、順序づけ
4. 記号操作の基礎学習
 4.1 文字の基礎学習
 4.2 数の基礎学習

        巻 頭 言
重複障害教育は人間行動のより深い理解に基づき、「くふうする教育」「考える教育」であり、すべての教育の礎である。
中島昭美著 人間行動の成りたち ─重複障害教育の基本的立場から─ 研究紀要第1巻第2号       初版昭和52年3月29日発行
syohan
『人間行動の成りたち』との出会い(中島昭美先生追悼集より)

 昭和55年ごろ、菊池養護学校での生活単元学習に疑問を感じ、重度の知的障害の子供達との関わり方が分からないでいた私にとって、ピンク色の表紙の研究紀要との出会いは衝撃的でした。ある先生から「これを読んでごらん。」と貸してもらい、深く理解はできなかったものの一晩で読んでしまうくらい引きつけられました。その時、印象に残ったのは、『見えれど見えず』ということばでした。義務化でやっと入学できた裕美さんや丈二君の行動が理解できませんでした。おっとりとして音楽の好きな丈二君は、昇降口でよっこいしょと座り、右の靴をはき、もう一つの靴もまた右足に持っていき、すでに靴をはいた足を入れようとするのです。一つ一つの行動はできるのに、「なんでよく見てしないんだろう・・」と毎日、昇降口での丈二君の行動がどうしても理解できずにいました。「これだ!」と、目から鱗が落ちるということばを実感しました。丈二君は見ているようできちんと見ていないのかもしれないと気づきました。それ以来、<ピンクの本>は私にとって座右の書になりました。
 子供の行動の見方、理解の仕方、教材の工夫等、どんな時にも手がかりを得ることができたような気がします。(寺本恵子先生「中島昭美先生のことば」より)

  私が教員に採用されたのは、養護学校が義務化された翌年で養護学校に多くの教員が 必要となった時期であり、私も採用と同時に菊池養護学校に赴任した。実は、27歳で 大学を卒業した私には、就職の選択の余地があまりなかった。教員になったのは、就職 が比較的簡単であったという理由につきる。
 ところが養護学校の教員になって2,3ヶ月がすぎた頃、学校へ行くのが嫌になって しまった。子どもとどう関わってよいか分からず、子どもの後を追っかけまわす毎日で 授業がおもしろくなかったからである。仕事を辞めようかと思い悩んでいる時、久里浜 に短期研修に行かれた先生の机上に置かれていた「人間行動の成り立ち」の冊子のコピ ーが目に止まり、パラパラと中をみて、子どもとの関わりの手がかりが得られそうだな と感じたのが出会いの始まりで、早速借りることにした。読み始めると、グイグイと引 き込まれるように一気に読んでしまった。20年が経っても、その時の感動を鮮明に記 憶している。もう一度この仕事をやり直そうかと強い衝撃を受けたのを覚えている。子 どもとの関わりには、こんな見方や考え方もあるものだ。自分が見て関わってきた数ヶ 月間は、とても底の浅いものであって、もっと深い世界がこの教育にあるのだと希望を 持った。この時、迷いも吹っ切れて教師を続けることにした。(幅孝行先生「中島先生と共に歩んだ私の障害児教育」より)